虫頭

Monday, December 19, 2016

フユセンチコガネ(Pleocoma badia hirsuta)Rain Beetle

Tの土産。120414。rrth。

                                               
Tの土産。120414。rrth。
Tの土産。120414。rrth。

Tの土産。120414。rrth。
 121614。kdr@m。午前4時半。





















Family科:Pleocomidae (Rain Beetles)
Genus属:Pleocoma (Rain Beetles)
Species種:badia (Pleocoma badia)
Subspecies亜種:hirsuta (Pleocoma badia hirsuta)
体長:24mm



  • 120414。rrth。この道30年の専門家Tさんのお土産。ココナツ皮部分を粉砕したものを詰めたインスタントコーヒーボトルに10匹。採集地rrthは標高3200ft。rrthについては来年の為に春先や夏場のうちにハイキング出来る場所を探してみる。そして冬場を想像してみる。
  • 121614。10匹中2匹がかなり元気な状態で確認された。長生きさせるために何か特別な処置を施したのかTに確認したところ、ココナツ皮を水に一晩でもつけておくとかなりボロボロとした感じになるらしく、それを粉砕すればこういう状態になるとのこと、園芸用途もあるのでそう珍しいものではないらしいとは彼の説明。そもそも採集後二週間位は生きていることも珍しくはないとの説明あり。Aにもらったアクセサリー一時保管用プラケースにココナツを詰めて一匹ずつ入れてあとどれくらい生きるか検証開始した。
  • 121614。kdr@m。昆虫写真家Rおすすめのスポット=TSと数年前に一緒に行ったスポット。午前4時半。灯火セットして10分も経過しないうちに10数匹飛翔。気温52F/湿度54%。降雨というより濃霧。専門家Tと話したところ、彼からお土産としてもらった本種(rrth採集分)と、今回採集した本種と思われるものについては、若干の違いが見られるはずとのこと。両者の違いを見てみるのはかまわないが、メールは苦手なのでメール添付では自信がないな、、とのことだった。今後の対応としては、彼の検分のために両方を一匹ずつ対比するような標本セットを作る。彼の住所を聞いて持参するか郵送する。年明け一月中にでも電話してみること。
  • 121814。生き残っていたT土産分の最後の二匹の内、一匹の死亡確認。標本用4体のうち、2体は展足ずみ。残り2体は保管中。
  • 041615。T土産rrthは正しく保管していたが、kdr@mで採集した分が正しく保管されていなかった為、標本同士の比較が出来ない。kdr@mについては今シーズン同時期に再度採集。
  • Pleocoma badia hirsuta Davis, 1934


"blackish" 121716@AH

"blackish" 121716@AH

"reddish" 121716@AH

"reddish" 121716@AH




  • 121716 AH 6:20am 45f 当日は晴れだが前々日12/15(降雨0.5")と前日12/16(降雨0.55")。地表は十分水分を含みこれなら出てこれるだろうと想像出来るほどに柔らかめな地面。山頂に夜明けの月が明るく水平線の向こうからは日が昇る直前。全体としてかなり明るくなりはじめたときに8匹飛来。内7匹は胸部も背面も黒っぽいが、一匹だけが胸部が赤い。虫友Bによれば本種の場合はこうしたバリエーションがあるとのこと。次の雨のときにはMCSPかTCSPに挑戦。
  • 45f(7c)の環境下において飛翔できるメカニズムは、結局のところ筋肉の収縮熱(muscle contraction)によるもの、とするのがKENNETH R. MORGAN博士により推察されている。彼の論文(TEMPERATURE REGULATION, ENERGY METABOLISM AND MATE-SEARCHING IN RAIN BEETLES (PLEOCOMA SPP.), WINTER-ACTIVE, ENDOTHERMIC SCARABS (COLEOPTERA) BY KENNETH R. MORGAN Department of Biology, University of California, Los Angeles, CA 90024, USA Accepted 10 October 1986) には、そのエネルギー源は幼虫時代に蓄積された”もの”であろう、とだけ記述されておりその成分が何であるかの記載は無い。素手で触るとほんのり暖かいような感じはあるし、プルプルと震えているような感触もある。FLIR ONE Thermal Imagerを入手し夏場から使い始めて来冬に備えること。
  • 122316 tcspのhr入り口にフィリップス製のっけただけltを午前5時に設置するも成果なし。この一帯でもいないはずはないのだが未だ採集出来ていない。飛翔条件に問題はなさそうなので、考えられるのは1)ポイントが開けた場所か否か=視界の広さ、あるいはこの地域に生息するのは本種ではなく(例えばpuncticolis)シーズンが終わってしまった可能性。ここはもろにご近所お散歩コースなのでバケツ式だと人目につきやすい。空中設置式を前日にあちこち仕掛けておく必要あるが、となるとコップ下に穴あけ作業も必要。
  • ”冬尺蛾―厳冬に生きる"(中島 秀雄)1986には「なぜ寒さに強いのか」について、とても参考になる実験や仮説の提示がなされている(頁178-214);1)低温器を使った耐寒性実験(1種あたり50頭。12度から徐々に温度を下げる。飛翔→早い歩行→遅い歩行→静止→さらに動きが緩慢→横倒し(仮死)からその逆プロセス。2)越冬昆虫にグリセリン(glycerol)や糖アルコールが含有されているなどの耐寒性の生理的しくみ。3)口吻の退化(非食餌性)は耐寒性の獲得と関係があるのではないか?4)翅の縮小化は低温期の出現と強い相関があるのではないか?4)メスは翅を失うことにより産卵を含めた生きるエネルギーに集中できる?5)そもそも冬に出現する必要があったのではないか?(自然のサイクルに合わせて生活様式とか生活史を作り上げたのではないか?)
  • "冬尺蛾における翅の退化と冬季活動性の進化”(山本哲史)昆虫と自然 46 (1). 2011では、冬尺蛾の進化に関するこれまでの研究紹介と今後の研究課題が簡潔にまとめられている;冬尺蛾は環境に適応すべく何度も繰り返し進化してきた。冬尺蛾の進化に関する仮説は3つ、1)森林適応(幼虫が春先の広葉樹を食べるのに適した産卵時期が冬。雌が移動する必要がないほど広葉樹は豊富。移動する必要がなければ翅を無くして産卵数も増やせる。)、2)飛翔性捕食者の回避(天敵コウモリは依然として雄にとっては脅威。冬は蜘蛛も少ない。)、3)寒冷環境適応(地球の歴史における寒冷な時代に適応したときの特質が今の温暖期にも残っている。無翅あるいは短翅の雌は雄より低温に強いことを示す実験結果。)。これらの仮説の検証には行き詰まり感あり。DEREK A. ROFF教授によれば環境が変化しにくい場所(湿地や草原ではなく、森林や寒冷地)には非飛翔性の種が多いことを見出している。加えて、冬尺蛾の遺伝子の塩基配列データによって冬尺蛾が他の蛾から分岐した年代は概ね地球の寒冷化に一致していたことから、気候の寒冷化が冬期活動性を進化させた可能性がある。→カリフォルニアライラックを一年通して観察すること、虫友たちに天敵(コヨーテ?狸badger?)に関する意見を求める、カリフォルニアの寒冷期と温暖期の歴史を調べる、他のコガネムシから分岐した年代はいつなのか調べる。
  • "The case of the shadowy beetle"(May 18, 2009|Thomas Curwen) LA Timesでは、David Hawksという研究者とIan Swiftという専門家のコメントが読める。前者はネバダ大学の昆虫学で勤務とあるが本種に関する研究論文が見つからない。後者は虫友Tも知っているその筋だが、調べてみると職業はWatershed Resources Specialist とある。カリフォルニア州政府に雇われた水資源に関する専門家なのだろうか。本種に関連するような論文は見つからない。
  • Entomology Research Museumにも本種に関する情報がいろいろありそう。要検討。
  • Derek A. Roff教授に本種に関する考察・所見を求めるというのはどうだろう?場合によっては素人向けに講演してもらえる機会を設定できないか?
  • Pleocoma badia (Fall, 1917)、Pleocoma badia badia (Badia Fall, 1917)及びPleocoma badia hirsuta (Davis, 1934)。この三種の違いは何だろう?Pleocomidaeのわかりやすいリスト"insectoid.info"によれば本種は1934年に発見された。ただし当時はPleocoma conjungensとして。以下Pleocoma conjungensに関する論文。とはいえ、では、いつ修正がなされたのだろうか?

A NEW VARIETY OF PLEOCOMA. (Published in 1934 in Proceedings of the Entomological Society of Washington, volume 36, on pages 88-89 Authors: Davis A.C.)

By A.C. Davis, Takoma Park, Md.

Pleocoma conjungens Horn Variety hirsutus, n. var.

General appearance as in Pleocoma conjungens.  Elytra shining black,margins with a brownish tinge, pronotum piceus, brawn at sides.  Head above, including ocular canthi, closely punctate and thickly covered with long yellow-brown hair; ocular canthi with the anterior margins curving forward of a right angle with the long axis of the body, apices acute, rounded,lateral margins nearly straight, posterior angles obtuse but distinct.  Pronotum slightly less than twice as wide as long (6 by  11.8mm.), black, brown at sides, with an occasional hair upon its surface; posterior median impression nearly lacking; lateral pits lacking; transverse ridge lacking, the basal part of the pronotum being smoothly and evenly convex to the declivity; anterior median impression distinct and moderately deep, very heavily and coarsely punctate, and rather densely clothed with long yellow-brown hair.  Scutellum sparsely, finely punctate, and sparsely clothed with short hair.

Legs and body beneath brown, very densely clothed with long yellows-brown hair.

Antennae almost exactly as in the specimen of P.conjungens labeled as the type in the collection of the Academy of Natural Sciences of Philadelphia, except in the proportions of antennal joints 1 to 3, which are 1.2, 0.3, and 1.0mm. in length, respectively, as compared with 0.7, 0.25, and 0.8mm. in the type.

Type locality. - Between Lebec and Saugus, in Los Angeles County, Calif., in the Sierra Madre Mountains. Collected by R.D. Lusk.

Type.- Male in the collection of the Los Angeles Museum. This specimen was lent to me for study by L.J. Muchmore.  Among Mr.Lusk’s effects the following data. attached to a
letter of inquiry from Mr. Muchmore, were found by Earl Hakes:“Found on the 22d day of January, I933. about 7 miles this side of the summit on the Ridge Route. There were hundreds
of these bugs flying through the air just below the snow line about 5P.M.”
This variety, while close to P. conjungens in most respects, seems to differ from the typical form enough to justify at least a varietal name. It may be separated from conjungens by the
color, different shape of the ocular canthi, the more parallel sides of the horn of the vertex , the extreme hairiness of the head and anterior part of the pronotum, the heavily punctate anterior median impression, and the slightly different proportions of the first 3 antenna] joints.


参考url :
http://bugguide.net/node/view/244960
http://articles.latimes.com/2009/may/18/local/me-beetles18
http://www.sbcollections.org/cbp/AQ_SpeciesView.aspx?Filter=Browser&SpecificEpithet=0&Image=N&County=NA&AdminArea=NA&Introduced=NA&NatHist=NA&Native=NA&genus=NA&family=NA&PageSize=1500&SingleRec=-1&From=AQ&id=0&RecordNumber=0&QueryType=Specimens&Field1=family&Filter1=Pleocomidae&Condition1=%3d&Field2=EMPTY&Filter2=EMPTY&Condition2=EMPTY&Query2=EMPTY&Field3=EMPTY&Filter3=EMPTY&Condition3=EMPTY&Query3=EMPTY&NumberFilters=1
https://www.cdfa.ca.gov/plant/ppd/entomology/resassoc.html#swift
https://entmuseum.ucr.edu/news24.pdf
http://museum.unl.edu/research/entomology/workers/DHawks.htm
http://cals.arizona.edu/classes/ento596c/topic/session4.html
http://biology.ucr.edu/people/faculty/DRpubs/RoffCV.html
http://insectoid.info/insecta/coleoptera/pleocomidae_family/species/
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1X53WWVzEzgumuF9fMF5ns5-NtrKi14wHT0Sh6ItzKis/edit#gid=674213295

参考書籍:

The Hot-Blooded Insects: Strategies and Mechanisms of Thermoregulation


The Evolution of Flightlessness in Insects(Derek A. Roff, Ecological Monographs, Vol. 60, No. 4 (Dec., 1990), pp. 389-421)




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