養蜂デイキャンプ2018
オープニング・セッション
- 033118. CPP. カルポリ農学部・獣医学科のマーク・ハーグ教授が仕切る1日イベント開催。国旗宣誓後、ロングビーチ養蜂協会のバーバラ(代表)、ロサンゼルス養蜂協会代表のジョン、南カリフォルニア養蜂協会のホゼ、オレンジカウンティ養蜂協会のリズが前に呼ばれて同講師と記念撮影。
- 同講師が同学科の養蜂講座を担当するようになったのは約1年前は設備も貧弱で生徒用防護服も冗談のような古いものが残されていただけだったが、南カリフォルニア各養蜂協会等の寄付支援もあり設備を整え現在に至るといった経緯説明。
- ステーション1(担当ショーン・クローリー)養蜂家/養蜂講座講師。これまでに使ったさまざな機材の説明。優れものから、一見良さそうなだがまったく使えないものまで。
- ステーション2(担当メロディー・ワレス)ダニ検査。
- ステーション3(担当ロブ・ストーン)養蜂家/オレンジカウンティ養蜂器具販売。Hive Manipulation(養蜂箱のお世話)
- ステーション4(担当カーリン・プリケンとその夫ベン))女王蜂セットを養蜂箱に投入設置については初心者向け版4と上級者向け版4a(担当ジョンとホゼ)に分かれる。
- ステーション 5(担当スティーブ・メルトンとハーグ教授)初心者向けには "Hive manipulation" 。上級者向け5aには女王蜂を育てるための幼虫移植方法"Queen Grafting"について。
- "California Master Beekeeping Program" バーバラ、ジョン、ドクター・ウオレスによる養蜂家マスターコースの紹介。今年で4年目。
- ハーグ教授によれば、ミツバチに刺されと体内でヒスタミンを分泌して痛みを抑えようとするが、これはごく自然な体の反応であり、一般にアレルギー反応と呼ばれるものではない。ミツバチに刺されることでアレルギー反応が起きて心臓発作を引き起こす確率は3%以下と言われており、雷に打たれて死ぬ確率よりはるかに低い、との説明あり。
- ビー・エチケット:養蜂箱の出入り口に立たないこと。黒い服装はミツバチが熊に反応するのと同じことを引き起こす。サングラスはしないこと、ミツバチにとっては大きなターゲットにしか見えない。ちなみに熊は蜂蜜を好きなのではなくミツバチの蛹=タンパク質を探している。熊にならないこと=ミツバチを脅かさないこと、ゆっくりした動作を心がける。"Benadryl"などの抗ヒストミン剤を携帯しておくこと。
http://www.beekeepersassociationofsoutherncalifornia.org
http://theocba.org
http://www.signaltribunenewspaper.com/?p=33337
https://www.cpp.edu/~agri/news/2017-beekeeping-workshop.shtml
https://theocba.org
http://www.ocbeekeepers.org
http://magazine.pomona.edu/2018/spring/her-little-slice-of-heaven/
https://cambp.ucdavis.edu
https://allergy72.jp/bee-allergy/what.html
https://hachi110119.com/knowledge/hachi-sasareta.html
http://www.socal-beekeeping.com/2018-03-31BeeSeminar.htm
ステーション4「新女王蜂と働き蜂のパッケージを入手したら」
- プリケン夫妻の声は明瞭でわかりやすいが訛りもある。これが他国のものなのか、ミネソタ州の方言なのかは判別出来ないけれど。数年前にオレンジカウンティに引っ越してきたらしい。
- 女王蜂を注文して届くのはパッケージと呼ばれる木製の箱あるいはBee Busと呼ばれるプラスチック製。基本的な仕組みはどちらも同じだが、開け方が多少異なる。その中には隔離された状態の一匹の女王蜂と約1万5千〜2万匹の働き蜂(ただしほとんど"Nurse")が入っている。この女王蜂がこの働き蜂達を生んでない。←おそらく女王蜂は交尾済みで産卵未経験のものだろう。では、この働き蜂たちを生んだ女王蜂はどこにいるのだろうか?
- 木製パッケージの側面は金網になっており、働き蜂が動き回っているのが見える。大型トマト缶サイズのラベルをむいた状態に似た缶が木箱中央に設置されていて中には砂糖水(Syrup)が入っていて、底部にプラスチックの小さい穴付き蓋が付けられていてこの穴から働き蜂たちが輸送途中の栄養補給が出来るようになっている。ベンさん曰く、もしもパッケージが午前中に届いた場合は移設投入作業は同日でも日没頃まで例えば午後6時以降あるいは翌朝の早朝まで待つこと。とりあえずの保管場所はガレージなど気温が低い場所が望ましい。パッケージの金網部分の外側から砂糖水をスプレーすると移動による振動で興奮している働き蜂を落ち着かせる効果などがあるが、くれぐれも女王蜂にスプレーしないように注意。女王蜂は体についた砂糖水を自分で払い落とすことが出来ずに死んでしまうケースもあるので。働き蜂たちはお互いの体をきれいにしあう。
- その缶が木箱の蓋の役割をしていて、これをハイブツールで取り出すと中の働き蜂たちを養蜂箱に移す用意が整う。缶を取り出すとともにクイーンケージも取り出してみたところ、女王蜂の姿はなく、とりあえずあるものと仮定して説明再開。
- 木箱を多少乱暴にガツン、ガサガサっと軽くゆすって働き蜂たちを一旦底部に追いやったのち、さっとひっくり返して養蜂箱の一段目、フレームがあらかた入っている状態のところにガサガサやりながら木箱から振り落とす作業を見せてくれた。この時、女王蜂はクイーンケージに入ったままで、とりあえずポケットに入れておく。彼らはこの移設作業において燻煙器を使わず、その代わりに1:1の砂糖水をスプレーさせて働き蜂たちを落ち着かせる方法をとる。燻煙ではパニック状態を引き起こすため。大半は巣箱の下に落ちていくが、中には飛び立つ者もいるが気にすることはない。加えて、巣箱の入り口は通常よりも小さくしておく。その理由は配送されてきた働き蜂には門番や外勤の経験者がいないから、外敵が少しでも入りにくくすることが優先される。
- すばやくこの作業を終えたのち、二段目にフレーム無しの養蜂箱を乗せ、中にはプラスチック製ボトル形状の砂糖水入りフィーダーを設置。その上に蓋をするところまで。木箱内にはまだ働き蜂が少なからず残されたままなので、この箱は養蜂箱のそばに放置し勝手に出て行って養蜂箱に自力で入ってもらうことを促す。
- クイーンケージを養蜂箱に設置する際にはコルクをキャンディーに置き換えかつキャンディー部分が上になっていることを確認した上でゴム輪を使って養蜂箱の中央のフレームに固定する。キャンディ側が下向きだと女王蜂が巣箱の構造上出ていけない。要は女王蜂と働き蜂の双方がこのキャンディーを食べて徐々に掘り進ことで最終的には女王蜂がクイーンケージから救出される仕組み。全ての投入設置作業を夜間に行うことで、外勤(Forager)が翌朝スムースに出動できる。パッケージに梱包されてきた大半の働き蜂は内勤(Nurse)の経験しかないので、門番経験者もいない。従って、当面は外部からの食料調達は内勤の需要に追いつかないので周辺の環境が整っていると思われる場合でも砂糖水を養蜂箱内に用意しておく必要がある。その方法についてはさまざまでフレーム状のフィーダーもあれば、養蜂箱の上に設置するボトル状のフィーダーもある。さらにベンさん夫妻はこの移設投入時期の当面は砂糖水に加え、パテ状の花粉(クレジットカードサイズのPollen Paty)も与える。養蜂箱の外側に取り付ける砂糖水フィーダーもあるが、内部に取り付けるタイプのものが望ましい。砂糖水の投与を停止するタイミングは周辺の蜜源の環境などによるが、蜜蜂からみれば必要なくなれば砂糖水は食べなくなる。まずブルードが一杯(目安はフレームの70%〜80%に巣が形成されている状態)になれば次の箱をその上に乗せることになるが、この時忘れてならないのは砂糖水のフィーダーを最初の箱から次の箱へ移しておくこと。これにより、働き蜂は次の箱への移動がスムースになるから。スーパーはブルードより形状が薄め。くれぐれもブルードから蜂蜜採取をしないこと。
- 投入設置後24時間は放置。その後、空になったクイーンケージを取り出すことになるが、これをしないと働き蜂たちが空になったクイーンケージを女王蜂の居場所と勘違いすることになり混乱が生じる。ただし、この段階では女王蜂の居場所を探すことはしないこと。空になったクイーンケージでも人間でも識別できるようなかなり強い匂いがあり、働き蜂たちを引きつけてしまうので処分する際、養蜂箱から離れた場所で、しかもプラスチック素材などしっかり外気を遮断できるゴミ箱に入れて処分することが必要。
- 投入設置後、1週間経過した段階で女王蜂を確認すること。虫眼鏡があると便利。ちなみにこの確認作業をするときには燻煙が必要となる(蜜蜂たちに養蜂箱内を覗くことを知らせるため"I'm coming in!")。今年の女王蜂のマーキングの色は赤と決まっている。昨年は黄色。女王蜂を目視する方法以外にも、卵が産み付けられている否かでその存在を確認出来る。少なくとも卵を確認した時から72時間前までは女王蜂がそこにいたことを意味するので。
- 養蜂箱を二つ並べて始めると、それぞれ進捗具合が違うし、比較もできるので学ぶ機会も多い。それぞれにスピリットがあり、パーソナリティがある。そうした中で自分なりのやり方を確立していくが出来る。
- 最初の年は新女王蜂の巣の基礎作りを助ける年なので蜂蜜採取までは期待しないこと。
- 毎日養蜂箱を覗きに行くようなことはやめること(=over manipulation)。なるべく邪魔しない姿勢。外から観察すること。門番の様子や、外勤が帰ってきた際の花粉の状況など、見るべきことはいろいろある。せいぜい週に一回のチェックで十分。
- 水やりは重要。さもなくば、隣家のプールに集まったりして問題を引き起こす。ミツバチは水の深さは認識できないので溺れてしまうこともある。これを防ぐために水を用意したら砂利などをしくなどの工夫も必要。←プールに落下したミツバチを度々目撃していたが、これで納得。
- 燻煙の練習も必要。さもなくば、ミツバチを焼き殺してしまうこともあるし、効果的に煙が出ないこともあるから。
- ミツバチはお世話してくれる人を認識するし、養蜂箱に近づく際の足音や振動にも敏感。燻煙は彼らを作業したいポイントから遠ざけるだけではなく、最初にドアをノックするような合図の意味合いもある。
- 養蜂箱の下に空間を設けることは、アリ除けや風通しを良くする意味において有効。アリ除けのためにはは養蜂箱の足にオイルを張ったツナ缶の空き缶のようなものが効果あり。カリフォルニアではアリ対策が必要だが、ミネソタではその問題は無かった。
- パッケージが届くまでの移動時間が数日間ある場合は、パッケージの中で女王蜂と働き蜂が認識し合っているので移設はスムースに運ぶ場合が多いが、もしも、働き蜂と女王蜂が別々に届くような場合に仮にただちに一緒にしてしまうと働き蜂たちが女王蜂を殺してしまう場合もある。いずれのケースにせよ、クイーンケージのコルク栓はキャンディーに詰め替えて設置すること。
- ブルードはミツバチの家、スーパーは養蜂家が蜂蜜をもらえる箱と考える。最初のスーバーが一杯になったらその上に次のスーパーを乗せていく。
http://honeybeesanadventure.blogspot.com/2011/10/
http://www.beekeepersassociationofsoutherncalifornia.org/#modern-organic-thai
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ステーション5「定期的に養蜂箱を確認する方法について」
- 養蜂家スティーブは養蜂歴8年(プロ3年目)。アンテロープバレー在住。サンタクロースのような風貌。これもカリフォルニア英語なのだろうか、、相当に田舎風の訛りがきつい。マイペースな酪農家みたいな印象。定期点検の具体的な方法については語れるが、蜜蜂の各種行動の理由については答えられない。だってそういうもんだから、、といった感じ。砂漠地帯で養蜂やるなら彼。養蜂の求道者。←砂漠地帯のような花の咲く時期が極端に限られた場所、しかも極端に暑くなったり、寒暖差の激しい場所でどうやってミツバチを飼育するのだろう?自然に花が咲く1〜3ヶ月間位はともかくとして、残りの9ヶ月は砂糖水と花粉団子で飼育することになるのだろうか?このことをまず聞くべきだった。これは南カリフォルニア全域で言えることでもあるから、次回ワークショップの時には誰かに聞くしかない。
- まずは養蜂箱を開けて中を見せてくれた。ロイヤルゼリーが幼虫に最初の3日与えられている状況や、9日目に蓋がされた状況(Capped Brood)、21日目にして羽化した状況など。
- 最初にすべきは外見チェック。出入り口で働き蜂たちがどんな花粉を運んできているのかをまず観察する。
- フレーム観察。ワックスされた状態を見ると乾燥している部分や湿っている部分などあるがこれは特に心配することではない。フレームとフレームの間にワックスされてしまっている状態をハイブツールで削り取る方法を実演。
- 定期点検作業においては燻煙を使うこと。ブラシで払い落したり、フレームを振ったり叩いたりしないこと。作業開始は端のフレームから始めること。蜜蜂を怒らせることはしない。作業中に働き蜂を潰してしまったりすることもあるが、これが現実(what it is, what it is)。
- 定期点検は2週間ごと。Capped Honey、Opened Honey、Capped Broodの違いについて目視。
- 複数のQueen cellも目視。"More you look, more you understand"。じっくり時間をかけて急がず全てを見ること。この作業を怠ると、コロニーが弱る各種原因(foulbrood"ふそ病”やmite"バロアダニ”)を早期発見対応ができなくなってしまう。
- 花粉の供給が十分でない場合、女王蜂はその養蜂箱での産卵活動を停止してしまう。その場合はまったく新しい養蜂箱で最初からやりなおすこと。
- 針金張ったフレームは定期的にワックスがけ作業が必要なので使ってない。プラスチック製は真夏に不向きなので使ってない。木製フレームにプラスチックの巣のシートを使っている。
- 養蜂家のアドバイスを聞いて、それが自分の場合に使えるかどうかは、自分で判断すること。養蜂家の住む場所で環境がそれぞれ異なるから。自分の住むローカルの養蜂家にアドバイスを求めるのがベスト。あとは、インターネット。
- ひとつのcellに卵が複数産み付けられている状況が見つかったら、それは女王蜂が死んだことを意味する。新女王蜂を入手したら3日間はコルク栓付きのまま養蜂箱にいれて働き蜂を新女王蜂の匂いに慣れさせること。
- フィーダーやpollen pattyは養蜂箱の中。外付けにするとRobber beeを呼び寄せるなどろくなことがない。pollen pattyはそのままフレームにまたがるように置くと型崩れをおこして掃除が面倒なので半分にしたりとかの工夫は必要。
- Mite Awayなどの薬品を投与する場合は、スーパーを隔離してから行うこと。小さいネズミ対策はネットを張り巡らしたりする。
ステーション1「養蜂ツールについて」
- ショーン・クローリーさんは養蜂歴12年のベテラン養蜂家。カルポリでも講師を務める。養蜂箱150箱を維持管理している。主にアーモンド畑が職場。この人は本物で、話も上手。
- ハイブツールは2つあると良い。壊れることもある。
- JHookはほとんど使わない。養蜂箱の大掃除のときくらい。
- slated knifeもあると便利。あちこちの細かい作業にはステーキナイフを活用。
- capping scratcher(蜜ブタスクラッチャー) は蜂蜜採取やダニ検査に活用。
- フレームグリップは使わない。これでフレームを掴もうとするとたくさんの蜜蜂を潰してしまうので。
- 燻煙器も2つ(4x7と4x10)使用。ペレットストーブ用のペレットで問題ない。養蜂用もあるが若干高い。木炭も着火用に使うが、山火事にならないよう注意している。
- Bee brushも3つくらいあると良い。作業中に洗ったりする手間が省ける。
- フレームもいろいろあるが、彼の場合は木製の枠に2/3サイズのプラスチック製foundation(100% comb 100% flat)を貼り付けるタイプを採用。残りの1/3は蜜蜂たちに構築してもらえるから。ワックス処理されたfoundationは針金を張っても型崩れが起きるので使わない。プラスチック製foundationを使う場合でも両面ワックスがけはする。
- フローハイブはアイデアとしては良いが、全てプラスチック製のためプロとしては扱いにくい、養蜂箱内の状況も確認しにくいし、しかも全部揃えると極めて高額。プロは使わない。
- フィーダーは養蜂箱の上部につけるタイプが好み。設置の際は雨漏りを防ぐためにプロポリスを隙間に塗り込む。ガラス製の瓶に金属の飲み口つけた手作り。フレーム型はいちいち箱を開けなくはならないのが難点。プロはバケツ型を使う場合が多い。
- 手袋はなるべく使わないが、ヤギ革が好み。素手のほうがいろいろなことがわかる。ゴム製手袋はむれるので使わない。
- 作業靴はスニーカー。靴下と手作りのレッグウオーマー(古い靴下)で足元を守る。
- ウルトラブリーズの防護服は完璧。安物だと夏場は汗をかいてピタピタくっつくので防護にならない。
- ブルーテープとシャーピーは作業メモとして使える。
- 養蜂家は蜂蜜採取は自宅にスーパーを持ち帰ってから行う。
- アリ対策として、養蜂箱から少し離した場所(5 feet around)で取り囲んだようにTermidor SCを散布している。←アリが巣に持ち帰ることで退治するタイプの薬剤らしいが、殺虫剤が蜜蜂に与える影響が危険視されているわけだし、危ないんじゃないか。どうして足場に油入りのツナ缶をかませる方法などもあるというのに。こんなもの扱い方に慣れていない素人にすすめていいんだろうか。
ステーション2「ダニ対策」
- メロディー・ワレスさんは60歳代白人でダニ検査について説明。テントの下で、検査小道具が設置。周辺の地面には前のデモで犠牲になった働き蜂たちの小山がフェンス脇にポツポツ。必要なこととはいえ、こういう状況は少なからず心痛む様子も見え隠れしてお疲れのご様子。同校の講師としての評判とも合致する印象。実演担当の白人青年ジェレミー君は、これは必要なことなんだと正当性を主張すべく無理に明るく軽く振る舞う感じがどうにも違和感、ちょっとなめてかかっている感じ。この先生は獣医であるためなのか、、ミツバチに関してはもうひとつ情熱が感じられない。
- 問題のダニ、Varroaは属名。種名がdestructor。アジア原産で東洋ミツバチと共にある時期に侵入してしまった、との説明あり。西洋ミツバチにとっての現下の大問題。このダニを殺傷することは、結局のところミツバチを殺傷することになってしまうから。
- ダニ問題への対応について消極的であったり、無知であることはあとあと問題を大きくすことになるので、定期的なダニ検査は非常に重要。←どれくらいの頻度でやるべきなのか?
- メス・ダニは働き蜂に寄生している時期("phoretic stage")と蓋されたセル内に寄生している時期があり、後者の段階(capped brood)になってしまうと対応は困難。
- "phoretic stage"の後、メス・ダニは蓋されていないセルに侵入する。ドローンのセルが最も好まれるのは、働き蜂が21日(卵から羽化するまでの期間)、女王蜂が16日、ドローンが24日であることと関係ある。侵入後に最初に一匹だけオスを産卵するが、その後30時間毎にメスの産卵を開始する。ドローンのセルであればメスをより多く産卵できる。この中で交尾が行われてオスは死ぬが、母メスと子メスは羽化した蜂と共に脱出し、同じサイクルを繰り返す。←バロアの生態が単為生殖・パーセノジェネシス(parthenogenesis)なのは、蜜蜂の巣の中がそれだけ安定した環境であるからなのだろうが、どうしてまた東洋ミツバチはバロアの耐性を獲得し得たのだろう?
- 経験則ではダニ発生率のしきい値(threshold)は3%(働き蜂300匹中の9匹のダニ)。
- 検査方法は2種類。一つは粉砂糖方式("Suger shake")、もうひとつはアルコール方式("Alcohol wash") 。
- 養蜂箱からBroodのフレームを取り出し、これをゆすって働き蜂たちを一旦プラケースに振り落とす。この段階で外勤は飛び立つが内勤は未だ飛ぶことが出来ずに検査対象となる。くれぐれも女王蜂を検査対象としないように、、と繰り返し注意あり。
- 働き蜂は羽化後は内勤だが、羽化してから約18日後くらいから飛ぶ練習を始めて養蜂箱周辺を飛び回り外勤準備に入る。羽化21日後からは花粉を集める外勤となる。
- 粉砂糖方式の場合、プラケースに振り落とされた飛べない働き蜂をカップで約300匹をすくって網付きの蓋がある瓶に移し、そこに2tsp(大さじ二杯)の粉砂糖をふりかけて良く振る。粉砂糖がミツバチに付着して、ダニがミツバチについていられなくなる効果がある。但し、アルコール方式ほど正確ではないのが難点。とにかく蜂を殺したくないという声が多いので紹介している、とのこと。ボトルをひっくり返して白い紙皿の上に粉砂糖を振り落とすとそこにダニが肉眼で目視できる。スプレーボトルに水を入れて、紙皿にスプレーするとダニがより見やすくなる。←約300匹をすくうカップの厳密なサイズを確認する必要あり。見た目は1カップといった感じだったが。1/2 cup=300匹と記述しているサイトあり。
- アルコール方式の場合、Easy Checkという検査用カップが販売されているがこれにこだわる必要はない。粉砂糖法方式で使用した網付きガラス瓶でも同じことができる。消毒用アルコールで検査対象となる働き蜂をダニと共に殺すことになるけれど。網付きで濾して別ケースでダニの数を数える。
- アフリカナイズドはバロアダニに耐性がある。カリフォルニアの野生化したミツバチはアフリカナイズドの遺伝子を持っている。ヨーロッパ原産にバロアが多く見られるのはアフリカナイズドのライフサイクルがヨーロッパ原産よりも少し短いことが起因している。バロアのライフサイクルにより都合が良い。野生化したミツバチ(ferral)と商業目的に養殖されているミツバチ(Commercial)とでは、後者に圧倒的にバロアが多い。
- Drone Frameと呼ばれるバロア検査専用の緑色のフレームを活用するのも手。巣房に蓋がされた段階でフレームを取り出して冷凍庫に数日間入れれば蛹と共にダニも完全に死ぬ。その間にもう一つのDrone Frameを入れる。合計2つ必要。←いくら巣房がオス蜂サイズだからといって本当に女王蜂がオス蜂ばかり産卵するのだろうか?どれくらいの確率でオス蜂が産卵されるのだろうか?
- 自然の中では、ダニ問題が発生した場合はある段階で彼らの判断で引越し(swarm現象)をするが、養蜂は人工的なためにそれも叶わない。
- バロア対策にはいくつかの選択肢があるが、これは各人の裁量で選べるが、その対策を講じるタイミングによって選択肢も狭まる。養蜂の目的が蜂蜜ならば殺ダニ剤を使うのは困難。←残留物の心配はないとうたう殺ダニ剤メーカーもあるけれども、どう考えればいいのだろう?ニホンミツバチならばダニの心配をしなくてよいわけだから、抗生物質(antibiotics)や殺ダニ剤(Amitraz等の"pesticides")の必要がないはず。と、なれば、あとは周囲の環境=蜜源がどの程度殺虫剤フリーなのかを心配すればよい、、ということになる?ニホンミツバチの蜂蜜を海外に売ることは可能なのだろうか?安全性が高いなら高値で売れるルートも開拓できそうだけれど。
- バロア対策の現実は、The Honey Bee Health Coalitionの公式サイトに詳しい。
https://www.bee-lab.jp/hobeey/hobeeydb/db01/hobeey01_51.html
http://sci-tech-germany.com/bienensauna
http://articles.extension.org/pages/65450/varroa-mite-reproductive-biology
https://resistantbees.com/blog/?page_id=1757
https://www.slideshare.net/alokbharti18/bee-keeping
http://tawara88.com/assets/library/03varroa/3-1Varroa.pdf
http://takahashihoney.net/issho/
http://www.tamagawa.ac.jp/hsrc/contents/pages/note/bee-life.htm
http://www.tamagawa.ac.jp/hsrc/contents/pages/note/bee-diseases.html
http://www.bee38.com/bee.html
http://scientificbeekeeping.com/powdered-sugar-dusting-sweet-and-safe-but-does-it-really-work-part-1/
http://marui38.jp/blog/?p=2921
https://www.honeybeesonline.com/testing-for-varroa-mites/
https://www.youtube.com/watch?v=QxYE2LLTYAo
https://www.youtube.com/watch?v=36oHVUl3INA&t=302s
http://calag.ucanr.edu/Archive/?article=ca.v052n02p9
https://honeybeehealthcoalition.org/varroa/
https://www.youtube.com/watch?v=R5LxTf-EYIY
http://scientificbeekeeping.com/fighting-varroa-biotechnical-tactics-ii/
https://www.kelleybees.com/drone-comb-frames.html
https://www.mannlakeltd.com/9-1-8-23-18-cm-green-plastic-drone-comb-frame
https://www.ted.com/talks/dennis_vanengelsdorp_a_plea_for_bees?language=ja&utm_campaign=tedspread&utm_medium=referral&utm_source=tedcomshare
https://ja.wikipedia.org/wiki/単為生殖
https://allyouneedisbiology.wordpress.com/tag/parthenogenesis/
http://scientificbeekeeping.com/an-improved-but-not-yet-perfect-varroa-mite-washer/
http://bee-page.com/apivar/
https://syumatsu-yoho.com/38/node/1665
https://www.koofers.com/california-state-polytechnic-university-pomona-csupomona/instructors/wallace-956829/
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