虫頭

Thursday, January 12, 2017

フユセンチコガネ(Pleocoma australis)Southern Rain Beetle



















  • 2014年11月1日。cf。待望の雨。
  • 前日午後日没前にtcspに仕掛けて翌朝回収したものの不発。
  • cfは当日午前6時には開門されていた。もしかすると一晩中アクセスが可能だったのか、あるいは通常のオペレーションとして6時以前に開門されているのかもしれない。次回は30分待つ覚悟で現地着午前5時半を目標にすること。
  • 午前6時半頃。日の出直前。gs@apsの夜間照明を飛び回っていた一匹。クモの巣にかかったところを採集。公園内にセットしたもののこちらは不発。洗面所も不発。夜間照明が点灯していなかったことが原因か。
  • 採集してから4日間生存。
  • australisと決めてかかったが、本当にそうだろうか。badia hirsutaとの違いは何か、標本比較とtとjにも質問ぶつけてみること。
参考url:
http://bugguide.net/node/view/169138





Family科:Pleocomidae (Rain Beetles)
Genus属:Pleocoma (Rain Beetles)
Species種:australis (Southern Rain Beetle )

  • 1968年の採集。標本の骨董品。
  • 111968。Mountain Center, Riverside County, CA
  • マウンテンセンターはパームスプリングスの裏手にそびえる山の中にある街。あそこまで内陸にいるということが驚きだし。今でもいるのだろうか。真夏でも涼しく、11月も半ばともなればかなり寒いはず。同じ時期を狙って泊まりにいけるかも。当時の採集家の足跡をたどって。
  • 採集者のD.G.Marquaとはどんな人だったのだろう?どうやらDavid G. Marquaがその名前で、レインビートルの古い文献において、研究者と共に名前を連ねている人で、協力者的な存在のように読める。BioQuipで販売されていた位だから、それなりに名前のあった人であるに違いない。
  • 標本の骨董品というのも味わい深い。関係無い人には何の価値もないのだけれど。
  • 昨年のMHで灯火採集した前回とは別のフユセンチコガネの映像。大きな触角が良く見える。全身が黒いが、体毛は灰色っぽい。

Evans博士の「Introduction to California Beetles」によれば:


  • Pleocoma australis・雄の体長は24〜28mm。
  • 生息が確認されている場所は、SBからSD迄の海岸沿いの山間地帯(Transverse Range) 、さらにはメキシコのバハカリフォルニア迄の山間地帯(Peninsular Range) 。海抜で言うと500 ft〜11,500 ft (150 m to 3,500 m)迄。
  • 発生時期は10月や11月の最初の秋の雨。特に、日没の頃あるいは日没後の霧雨。
  • 幼虫はカシの木・Canyon Live Oak (Quercus chrysolepis)の根を食べる。→ドングリがなる木。常緑。コナラ属。
  • フユセンチコガネ科は一属。
  • 生息はワシントン州南部からメキシコ・バハカリフォルニア北部迄。かつてアラスカ州とユタ州にもいると言われていたことがあったのは誤り。
  • "Small, isolated populations also occur in the Sacramento Valley and the coastal plain of San Diego County.  The known modern distribution of these apparently ancient beetles is restricted by the flightless female and is more or less correlated to the areas of land that have never been subjected to glaciation or inundation by inland seas during the last two or three million years.": サクラメント・バレーやサンディエゴの海岸沿いの平地には、孤立したかたちで数的に多くない固有の種が確認されている。おそらく雌が飛べないことと、たぶんその地域が過去200〜300万年の間に氷河周辺地域におこる地層変化や内海による水没の影響を受けなかったことと関係がある。→TPのことだろうか。要確認。→これに関連し、http://emvc.geol.ucsb.edu/2_infopgs/IP5TransR/fPlioPleistShortening.htmlの動画を見るといかにしてサンタモニカマウンテン等がどのような造山運動を経て出来たのかのごく基本的な理解を得ることができる。では氷河期にあってはこのあたりはどのような環境だったのか、内海の影響を受けていないと考えていいのか等、専門家を探すしかない。
  • フユセンチコガネは大きくて、がっしりしていて、光沢あり。
  • 腹側を覆う毛深い体毛が意外なことに保温機能を果たしていない。冷たい雨の中を飛び回ったり、冷えきっているであろう地面を雌を探して歩き回ったりする際においても体毛が何らかの保温効果を果たしていることはない。
  • 雄は体温を華氏95度にまで調節出来ることが知られているが、そのメカニズムについては解明されていない。
  • 毛深い体毛は地中深くから地表へ掘り進む際の摩耗から体を保護する効果があるのではないか。
  • 雄雌ともに熊手のような脚とV字型の角がありこれで地中を掘り進む。
  • 雄には飛翔能力があるが雌にはない。そのため雌の後翅は縮んで退化した組織になってしまっている。雌の体は通常雄よりもかなり大きくて重たい。
  • 成虫の口器は機能しておらず、食べることが出来ない。エネルギー源は体内に蓄えられている脂肪分のみ。そのため短命で、平均的には2時間飛び回れる程度のエネルギーしかなく、数日で命が尽きる。雌も食べることは出来ないけれども、じっとしているのでエネルギー消費は少なく、秋冬の降雨後も数ヶ月間生きていることがある。フユセンチコガネの多くの種において、雄の活動の引き金となるのは秋冬のかなりの量の降雨あるいは晩冬や早春の雪解けといったタイミング。そのときの状況によるけれども、雄は日の出や日の入りの頃に飛翔する。軽い雨が降っていれば夜にも飛んでいることもある。一部の種では、かなり雨が降った翌日のしかも晴れた日の遅めの朝でも飛んでいることがあるし、かなりの雪解けがあれば同じことが起きる。→降雨はきっかけにすぎないということであれば、降雨の日時を起点に日の入りや日の出を狙うこと。11月の雨の夜明けのMH、今月の雨の遅めの午後のCFでは不発に終わったわけだが、実は少しタイミングをはずしてしまっただけだったのかもしれない。1月の雨に期待。雪解けの山岳地帯については実績調査要。
  • 雄は地表すれすれを雌のフェロモンを手がかりに飛ぶ。相当離れた場所からでも、草木が繁茂しているような状況においても地表の穴に出てきた雌を見つけることが出来る。実際に十数匹の雄が一匹の雌に交尾しようと群がって乗りかかってしまうようなことも見られる。交尾は地面あるいは雌の坑道で行われる。交尾をすませた雄はその場を去り短い命の続く限り別の交尾の機会を探す。飛翔する際には灯火に引き寄せられてしまうし、水面が輝いてしまうプールに引き寄せられて落下してしまうことも。一方、雌は再び坑道を戻り産卵し、数ヶ月後の孵化を待つ。産卵数は40-50個。坑道の突き当たりで螺旋状に卵を産みつける。その深さ、地下3m(10ft)。孵化するのに約2ヶ月。
  • 孵化した幼虫は固くしまった土を強靭な脚と顎を使って、寄生植物となる草、低木あるいは木の根の広がりに合わせて掘りすすむ。オレゴン州ではいくつかの種の幼虫はイチゴ、洋梨、リンゴ及びサクランボの害虫扱い。通常コガネムシの幼虫は3回脱皮するが、フユセンチコガネの場合は13年かけて7回以上脱皮する。蛹室はシンプルで長め。天敵は地下にも地上にもいろいろ。幼虫と蛹にとっては、ムシヒキアブ(Asilidae)の幼虫が、成虫にとっては、コヨーテ、狐、スカンク、狸および梟。敏捷なコヨーテ、狐あるいは鳥は飛翔中の雄を捕まえてしまうこともある。彼らの糞にフユセンチコガネの脚や前翅などが多数紛れているようなことも珍しいことではない。雌の体内に線虫が発生したケースも記録として残されている。
  • カリフォルニア州では1属に20種と3亜種が確認されている。→Dに相談:NHM LAかSBでタイプ標本 type specimenを見せてもらう機会はないか。
  • 特徴:カリフォルニア州のフユセンチコガネは北米においては大型なコガネムシの仲間に分類され、全体として体形はカナブン(June Bug)に似ている。体色は雄が赤茶から黒であるのに対して雌は赤茶のみ。体はがっしりとして、おおむね楕円形。背側が光沢があるのに対して腹側は深い剛毛をまとっている。飛翔能力のある雄は体長16.5mmから29mm位で、飛べない雌は体長19.5mmから44mmとかなり大きいのでその区別は容易につく。雌雄とも角がありその触角は11節からなり、その内の片状部は4節〜8節にもなり折り畳まれるとゴルフ・クラブのようになる。雄の片状部は雌のそれより大きい。食葉性なり食糞性なり口としての機能が欠落しているため何も食べない。前胸(prothorax)は広く、前脚・基節が前胸に接続する部分の窪みが背部に向かって解放されている点は他の甲虫のなかでも特徴的(→拡大写真等で要確認)。小盾板(scutellum)は目で見えるほどはっきりある。鞘翅(elytra)はなめらかで光沢がありはっきりとした溝が見られ、腹部は完全に隠されている。力強い前脚には熊手のような櫛状の歯が見られる。跗節の数(Tarsal formula)は、5(前脚)5(中脚)5(後脚)で、かぎ爪部分は単純な構造でいずれも同じ大きさ。腹部は6つの腹節からなる。幼虫は乳白色で"C"の形状、腹部の先端は排泄物によって黒っぽい場合がある。頭部は光沢のある黄色か赤茶色。触角は3節で眼は無い。脚は4節。10節ある腹部にはいかなる突起形状のものもみられない。
http://www.sbcollections.org/cbp/CBP_simple_query.aspx
http://www.hastingsreserve.org/invertebrates/Insects/Pleocoma/RainBeetle.html
http://sizenkan.exblog.jp/16114528
http://www.bugfacts.net/june-bug.php#.UsDS5uDjBTY
http://www12.plala.or.jp/mtoyoda/syokkaku.html
http://okwave.jp/qa/q5115406.html
http://soudan1.biglobe.ne.jp/qa1596273.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/クワガタムシ
http://ant.edb.miyakyo-u.ac.jp/J/GUIDE/MUNE.HTM
http://ja.wikipedia.org/wiki/鞘翅
http://ja.wikipedia.org/wiki/関節肢
http://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000064/64979/HP037.pdf
http://www.cals.ncsu.edu/course/ent425/library/spotid/coleoptera/families/tenebrion.html
http://biol-zukan-2.nara-edu.ac.jp/Figures/MorphExpl.html

タガメ(Lethocerus)Giant Water Bug


  • 080413 cw@rr 
  • 飼育困難と判断し近くの川に放置。後日ごく近くに雨季のみ使用される池のようなポイントがありそこから飛来したのだろうと推察。あのときから数年経過するが再度見たことがない。ガムシもおそらくこのポイントから飛来したものと思われる。
  • チェックリスト:水性昆虫採集用網、携帯バケツ、携帯ポンプ、プラスチック製金魚藻、ピートモス、靴ケース(宿泊中は携帯バケツに水、移動中は靴ケースにピートモス)。
  • 虫旅2018準備:今度遭遇した場合に備え、ガムシ同様のセット。問題は金魚やおたまじゃくしを旅先でタイミング良く入手できるかどうか。スーパーでエビは最後の手段(ないよりまし)。移動となれば、シューケースにコットンウッド等の濡れた枯葉を敷き詰めた中に入れて、保冷ケースに入れる。凍らせたペットボトル入りの氷のアイデアは素晴らしいが、宿泊先に冷蔵庫がなかったかもしれないのでゴム製の氷枕をもっていきスーパーで氷を買って詰めておき、移動中の温度上昇に備えドラッグストアで売っているインスタントアイスパックも準備する。保冷ケース内の温度はSemsorPushで確認。C30=F86を超えないよう数時間毎。



















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