虫頭

Saturday, September 30, 2006

♂1


一昨日の9月28日、♂が一匹死んでしまいました。お引っ越しのときに地面にでてこなかったので心配していましたが、交尾もすませて力つきたのでしょう。足がとれたりせずにきれいな体だったので、水洗いして虫ピンで脚や触覚の位置を整えてながらお線香とお花をお供えしました。あるていど乾燥したらスキャナーで細部まで写真にとっておこうと思っています。ちゃんとした標本を作る場合は、背中からおなかに向けて一本虫ピンをさすものですが、僕にはかわいそうでそれができません。死んでいるのですから痛いわけではないのでしょうが、飼っていた虫には愛着(あいちゃく)があってなかなか出来ないものです。こういう考え方はいたって日本的なのかもしれません。こちらの虫好きの友人たちはこのあたり全然気にしないようです。といっても、僕も珍しい世界のカブトムシの標本ならいくつか持っています。そのうちスキャンしてご紹介しますね。

Wednesday, September 27, 2006

メスは角もなく丸々と(♀2)


オスのかっこいい写真(気に入ってもらえたようでうれしいです)ではなく今日はまたメスの写真です。メスは角もないしただ丸々としているばかりでおもしろくないと思うかもしれませんが、どうしたこうなったのだろう、、と考えてみると結構たのしいですよ。メスに角が無いのはなぜなのか研究した学者がいるかどうかわからないのですが、僕が子供の頃の研究したところによれば、産卵するために地面を深くもぐっていくには角はどうみても邪魔(じゃま)なだけだから、、という結論だったように覚えています。よく観察するとオスはあまり深くもぐりませんし、もぐったとしても角だけだしていたり、あるいは地上で休んでいる光景も良くみます。世界中のカブトムシのメスがどれも似たような形であるのに、オスの角にはいろいろなスタイルや大きさがあるのはなぜなのか、、昨日のお話と関連しますがメスのことだけ考えるよりこちらのほうが面白そうなトピックですね。この写真は昨日26日に2番目に死んでしまったメスです。体長4.5センチと前回のメスより少し大きめです。見てわかるとおり足が一本ありませんが元々は六本ちゃんとありました。そちらでも経験されていると思いますが、弱ってくると足が部分的にとれてしまったり、6本あっても動きが不自由になるのは自然なことです。そろそろバナナも直接地面に置いて食べやすくしてあげようかしら、、と考えているところ。

Tuesday, September 26, 2006

カブトムシの角はなぜ長い


オスが一匹引っ越しできずにいます。ここ数日まったく地表にでてこないので心配しています(もしかすると、土の中で息絶えてしまったのかも)。今日の写真は引っ越し済みの元気なオスです(なかなかかわいい)。日本のカブトムシにはない独特の体毛が胸部(きょうぶ)の角にあることがわかります。さらによく見ると、胸部の角の下に小さな角が2つあります。グラントシロカブトはヘラクレスと同じように頭部(とうぶ)の角より胸部の角が長いのが特徴ですが、そもそもどうしてカブトムシの角は長いのか考えてみたことありますか?もし興味があれば、「カブトムシと進化論」(河野和男先生の著作。新思索社)という本がおもしろいです。この本によれば、カブトムシの角は必要があって長くなったものだが、それだけではなくて長い進化のなかで特に必要はなかったけどなんとなく残ってしまった等といったいくつかの事情が関係しているとのこと。古くはダーウインが1874年にカブトムシの角の役割について発表し、その後は1951年にアローがダーウインとはちがう考えを発表しているものの、分からないことも多くカブトムシの大きさや角の長さなどは今でも生物学上の研究対象のようです。来年もしたくさん捕まえられたらこういうテーマで夏休みのレポートに取り組んでみたらどうでしょう?ちなみに僕は小学校1年から中学1年まで日本のカブトムシの研究を夏休みのレポートにしていましたが、ただの一度も賞をいただけませんでした。今になって思えば、こういう研究テーマを選べば良かったのかな、、と思い返しています。

Sunday, September 24, 2006

♀の死


メスが一匹死にました:( 地面に出てきて力つきたのか、そっと横になっていました。悲しいことですが寿命だったのだろうと思います。土に埋めるまえに記録としてスキャンしました。体調は約4センチと小型。拡大してみるときれいなブロンド(?)の体毛が見えます。また頭に土がこびりついているのは、卵を生むためにケース底の湿って固い土をかき分けていたときに付いたものだと思います。オスのお引っ越しは今朝からはじめており地表に出てきたものを見つけては移す作業で残すところあと一匹。その後はメスだけの静かな余生を過ごしてもらいます。

Thursday, September 21, 2006

けんか


今日の最高気温は24度と、ロサンゼルスも秋の気配となりました。カブトムシたちは皆元気ですが、バナナがそれほど減らなくなりました。食欲旺盛だったメス達があまり地面に出てこないためだと思いますが、多分彼女たちはいま産卵で忙しくしているのでしょう。ちなみに、一匹のメスがもともとおなかに持っている卵の数は30〜60個くらいですから、もしも今年のメス(実は8匹ではなく9匹)全員が順調に産卵すると大変な数の幼虫たちをお世話をしなくてはいけなくなる計算です。もう十分交尾もしたようすなので今週末にはオス達を元の観賞用ケースに戻そうと思います。今日の写真はボケてしまっていますが、オス同士でけんかしていたのを見つけてあわてて撮影しました。左から攻め込まれてひっくり返ってしまった様子がわかりますでしょうか。グラントシロカブトは日本のカブトムシにくらべて性格がのんびりしているのですが、今年のオスたちの中には角で突き合っていたり、はさんで投げ飛ばす元気なのもいて見ていて楽しいです。

Wednesday, September 20, 2006

幼虫ケース事件


幼虫のケース事件、大変でしたね。毎日霧吹きしているのに、土がカラカラだっとか。こういう事態をさけるためには、プラスチック製の衣装ケースにたっぷり飼育マットを入れて飼うことをおすすめしますが、4ケース(大)ということは、もしやすでにそうされているのでしょうか。ちなみに写真のケース(横16inch X 長さ23inch X 深さ12inch)はTargetのような大型スーパーで買い求めましたが日本でも衣料雑貨を扱う店ならよくありますよね。あまりにも気密性が高すぎて通気が心配だったらフタもしくは側面の一カ所に直径数センチの穴を小型ドリルで開けておけばいいと思います。これなら物置にでも積み重ねやすく、これくらいの大きさで10匹程度で、マットの交換は1-2ヶ月に一回といったところ。湿度チェックも数週間に一度ですみます。ちょっと怠けてしまっても大量の土だと湿度が結構維持されているものですから心配しなくて楽です。あまり混雑して飼うと共食いすることもありますし、そこそこプライバシーな空間も必要なのは虫も同じ、、。ということで、34匹の幼虫となれば3〜4ケースは必要でしょうか。5個の卵はこれまで使っていたような虫ケースにてひとまとめで構わないですが、横からでも見えるようにしておけば孵化したかどうかもわかりやすいです。5つの瓶というのはいかにもていねいすぎるように思いました。加えて、「土の中のフンを1個1個割り箸で取り除いて、、、」とのこと、そこまでしなくてもカブトムシは育ちます。まったく新しいマットに入れてしまっても大丈夫なくらいですし、フンが混ざっていても病気になってしまうとかそういうことはないと思います。とはいえ、僕もこどものころは、新聞紙をしいて料理用の目の細かい金網でふるいにかけてフンを取り除いていたこともありますのでその気持ちはよく分かります。

Tuesday, September 19, 2006

夜行性



今日の写真はメスです。交尾ブームも一段落したのか皆落ち着いて食事をしている様子が見れるようになり、メスもリラックスしているのでしょうか。オスのような「なすびのしゃれた柄、、」ではありませんが地味ながらかわいいです。特にこのメスは斑点が少ないようですね。昨日のおはなしの補足ですが、カブトムシは「夜行性」があると言われていて夜になると元気になります。実は子供のころにどうして夜行性なのか調べようとしたことがあるのですがどうしても分かりませんでした。今思えば、昼間飛び回るカナブンに比べるとカブトムシの飛び方はいかにも下手だし、あれでは鳥に食べられてしまうことなど考えると、やっぱり鳥が寝ている夜に活動するほうが生き残れるということなのかな、、と思うにいたりました。第一アリゾナの日差しはたいへん強くて、場所によっては気温もたいへん高くなるためカブトムシのように体温を調節できないいきものにはけっこう大変です。昼間はどこにいるんでしょう?来年の課題かな。

Monday, September 18, 2006

灯火採集


どうやってつかまえたの?という質問についてですが、ぼくの場合はいつも夜、あかりに集まってくるカブトムシを捕まえます(日本でもそうでした)。場所はいろいろですが、明かりの種類がポイントで、蛍光灯のような白っぽいあかりであることが大事かな。町によっては街灯をオレンジ色に統一してしまっているようなところもあって、こういうところはまったく虫が集まらずつまらないです。昼間のうちに下見をしておいて、夜になったらあちこち車でうろうろします。日本人などいないような田舎に行くわけですから、いくら良さそうな場所があっても、地元の人しか立ち寄らないような場所はなるべく行かないようにしています。でも、3年前にはじめて行ったときには、もう夢中になってしまい、誰かの会社の倉庫の入口でうずくまっていたりしてご近所の人に怪しまれてしまい反省です。「ここ、よさそう!」と思う条件は他にもあって、白っぽい壁とかコンクリートで舗装されていることなども2番目に重要です。ところで、カブトムシが飛んでいるのを見たことありますか。あかりのまわりをぐるぐる回ったな、、と思ったら、突進して墜落。これも日本でもアメリカでも同じです。一度ひっくり返ってしまうと起き上がることが出来ずにもがいているのもまったく同じ。運良くひっくり返らなくても、あまり動き回らずじーっとしているのは脳しんとうでも起こしたかのしら、、と思わせます。ノソノソしていますから交通事故にあうことが多くて、探しにいってひかれてしまったカブトムシを見るのは本当につらい。見つけるたびに、もうちょっと早く来ていたら救出してあげられたのに、、とか、結局朝を迎えてしまいアリゾナの強い日差しを受けて熱死してまったものを見つけるときも、、「あーあ、、」という感じです。日本ほどではないと思いますが、こちらにもかぶとむし好きな大人がいて、夜中にばったりそういう人に出くわすことがあります。今年は、ある国立公園のまっくら闇の道路で、白いシーツの上に蛍光灯をたてて灯火採集(とうかさいしゅう)をしている人に会いました。そのときは集まってくるのは小さなコガネムシや蛾(ガ)でしたが、足下がもぞもぞするので、「あれ?」と思ったらタランチュラがいてチョットびっくり。おしゃべりに夢中になって全然気がつきませんでした。

Saturday, September 16, 2006

卵から成虫までの各ステージについて


メールいただきました。自然界で交尾済みのメスがたくさん卵を生んでくれたようで良かったですね。僕も昨日のお引っ越し作業のときにメスのケースを調べてみたら、写真のとおり卵を5つ見つけました。とても白くて、細長いですね。一匹だけしばらく顔を見せな雌がいたので多分ずっと土にもぐってひとつずつ生んでくれたのだと思います。とてもていねいに生んであって、ケース一番下の固めにしておいた部分(5センチくらい)に点々と見つかりました。このメスは自然界で交尾済みだったのでしょう。さて、グラントシロカブトの一生のスケジュールについてですが、日本でグラントシロカブトを飼育している人のお話(12ヶ月〜15ヶ月)とアメリカで飼育されている方のお話(25ヶ月)とでは異なる部分もあるのですが、こちらで読んだある本によれば平均的には以下のとおりとありました。

卵:3ヶ月
1令:1ヶ月
2令:2ヶ月
3令:14ヶ月
蛹室作りから蛹になるまで:半月
蛹:1ヶ月
成虫:3.5ヶ月

日本のカブトムシに比べてとにかく卵でいる期間と3令の期間が長いですね。今度写真をお見せしますがなにしろ昨年9月に卵だった幼虫たちはいまだに2令もしくは3令幼虫です。かれらが成虫になるのは来年の夏でしょう。なんでこんなに長いんでしょうね。ヘラクレスのような大型のカブトムシなら長いのもわかるような気がしますが、グラントシロカブトの大きさはだいたい日本のカブトムシと同じです。僕はたぶんアリゾナの乾期や雨期といった特別な気候と関係あるように思います。

Friday, September 15, 2006

引越



アリゾナより戻って2週間。新鮮なバナナを毎日与えてきました。みな良く食べるのですが、特にメスの食欲は旺盛で、一晩でバナナが皮だけになる日が続いていました。最近その食欲も少しスローダウンしてきたことや、栄養もたっぷりとった様子も見えてきたので、今週末にも交尾をさせるケースを準備しようと思っていた矢先、写真のとおり一部のオスが不自然な行動をとるので今日全員お引っ越しさせました。これから一週間くらいは静かに見守って、その後はまたオスとメスは別々にしてあげようと思っています。というのも、3年前にはじめてアリゾナから持ち帰るときにオスとメスを同じケースに入れていたら、メスが死んでしまうわ、オスも早死してしまったことがあったからです。車でゴトゴト揺られる移動の疲れもあるでしょうし、アリゾナからパームスプリングスそしてロサンゼルスと気候も違うこともあるし、ホテルの空調もまちまちでしたから、交尾は体調をととのえてあげてから、、と学びました。

Thursday, September 14, 2006

黒いDG


毎年そうなんですけど、飼っているもののうち数匹は最初のうちこそ白っぽいのに、日本のカブトムシのような黒っぽい色にかわるものがいます。どうしてだろう?湿度とか食事とかが原因なら、みんなそうなるはずのなのに、、、。病気でなければいいんですけどね。

Tuesday, September 12, 2006

2006虫旅終了



先月のアリゾナ旅行中より実況中継したかったのですが、朝から晩まで虫三昧(むしざんまい)だったのでご連絡できませんでした。この旅も今年で3年目。オスが5匹とメス8匹を無事ロサンゼルスに連れてかえることができました。これを機会にここでは毎日何かちょっとでもカブトムシのお話をしようと思いますので、よろしくおねがいします。